1.安全を守りたい:社会と自らの安全を守り、よりよく暮らせる方策を一緒につくっていこう
■社会の安全を守ることを、私たちは心から願っている。
■同時に、一人ひとりが自分の安全と暮らしを守っていく必要がある。
■危険を冒してまで、何が何でも運転を続けたいわけではない。
■当事者を抜きにではなく、わたしたちの体験や意見を聞きながら、多様な立場の人たちが、安全・安心によりよく暮らしていける方策についての議論を深め、現実的な方策を 一緒につくっていこう。
2.「認知症」を一括りにせず、新オレンジプランの基本方針に則った総合的な運転対策を
■認知症を一括りにして、運転免許の返納を促すのは、認知症の正しい理解を社会的に求めている時代の流れに逆行する。
■認知症イコール危ない、免許返納を、という偏見や誤解が拡大しないよう、正しい理解と対応が進むことの推進が必要。
■新オレンジプランにある「認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要」、「認知症の容態に応じた適時・適切な対応」という方針にそって、運転対策も拡充していく必要がある。
■また現在の運転の問題は、高齢者全般でおこりうることと、認知症に伴うことが混同されている。
■何が起きていて、何が必要か、丁寧に検討と対策が必要である。
■地域によって、運転の必要性や運転に伴う危険性、可能な対応等が大きく異なる。国全体とともに、それぞれの市区町村にて、当事者抜きで対策が進まないよう、「そこで暮らす認知症の人達」とともに、現実的な話し合いの場を設けてほしい。
3.一人ひとりの運転技量等を確認し、総合的に判断する仕組みの構築を
■客観的に運転技能を実際に判断し、総合的に判定できる体制の整備が望まれる。
■ペーパーテストや診断のみで判断されると、まだ十分安全に運転できる人に大きな不利益がおこり、気持ちの面でも深刻なダメージが生じ、認知症悪化の引き金にもなってしまう。
■医師の診断は重要だが、それを重視しすぎると医師に負荷がかかりすぎる。
■また、免許返納をおそれて、(早期の)受診をさけたり、医師に実情を正確に伝えない場合もあり、安全確保の遅れや適切な受療を損なう危険がある。
■本人が自分の運転技能を冷静に確認し、納得して返納に進めるような仕組みが必要。
4.免許を取り消された後も、当たり前に暮らしていけるように
■免許が取り消された後も、わたしたちの暮らしは続く。
■運転は、就労し続け生計を維持するためにも、また買い物や通院といった基本的な生活を営むためにも極めて重要である。加えて、人との交流や生きがいを保つための社会活動など、認知症があってもよりよく生きていくためには欠かせない手段である。
■免許返納だけが独り歩きせずに、当たり前に暮らす権利を守る観点から総合的な検討と対策が必要。それがあって初めて、わたしたちは安心でき、免許の自主返納ができる。
5.「本当に」安全運転が難しいなら、当事者が当事者へ自主返納を勧める活動を
■「本当に」安全運転がむずかしいのであれば、運転はやめるべき。
■自分たち自らが、当事者に向けて、社会と自らの安全を考え、免許返納をよびかけていく活動をしていきたい。
■同時に、免許返納後の移動や生活のあり方について当事者が当事者の相談にのり、免許返納のつらさを分かちあいながら地域社会にある支援とのつながりをつくり、返納が必要な当事者が新たな生活のスタートを切れるための架け橋となるよう活動を、国内各地に広げていきたいと考える。