令和6年度老人保健健康増進等事業


共生社会の実現を図るための施策への認知症本人参画のあり方の調査研究事業

当法人では、令和6年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)として、「共生社会の実現を図るための施策への認知症本人参画のあり方の調査研究事業 」を実施しました。(令和7年3月、以下報告)


<事業報告書>

ダウンロードはこちらから(PDFファイル:約14.4MB/A4判・95ページ)


<事業概要(サマリー)>

1.事業目的
認知症の本人参画が実質を伴う形になり、本人参画のための環境や配慮等が適切なものとなるよう、認知症希望大使等の認知症の本人とその関係者、自治体担当者、有識者等による検討委員会を立ち上げ、認知症の本人参画の現状と課題、工夫や改善策、関係者による支援の現状と課題等について調査・分析を行い、認知症の本人参画のあり方に関する要点の検討を行うとともに、全国の都道府県・市町村向け「施策を本人参画でともに進めるための手引き」を作成すること。

2.事業概要
(1)検討委員会の設置・開催:全3回、オンライン開催
(2)施策への本人参画全国基礎調査の実施

・実施時期:令和6年11月~令和7年1月
・回収・回収率:都道府県100%、市町村55.7%
(3)施策への本人参画詳細調査の実施
①フォーカスグループ調査
・実施日:令和6年10月24日 於:ビジョンセンター品川(東京)
②自治体等関係者への現地聞取り調査
・実施日:令和6年9月~令和7年3月(5県9箇所)
(4)「都道府県・市町村向け施策を本人参画でともに進めるための手引き」の作成
(5)事業報告コンテンツ作成と公開

3.事業結果
■調査結果

・アンケート調査結果をみると、本人が施策に参加する効果について「ある」と回答(「大いに思う」と「まあ思う」の合計)の割合は、都道府県が100%、市町村が91%。一方、本人参画を進めるうえで担当者が抱える困難や課題が「ある」と回答(「大いにある」と「ある」の合計)は、都道府県、市町村ともに8割以上と高い。本人参画による効果を期待してはいるものの、実際に進めていく上では様々な困難や課題を抱えていることが確認できた。

・困難・課題の主な内容は、①本人に出会うことが難しい、②本人参画の進め方(方法)がわからない、③施策への活かし方がわからない、④地域支援推進員との意識合わせ・協力関係について、⑤庁内・関係機関・専門職等との意識合わせ・協力関係について、⑥家族の理解・協力が得られない、⑦認知症を自覚していない本人へのアプローチが難しい、⑧本人ミーティングや認知症カフェ等の居場所づくり等、➈地域が認知症について閉鎖的で協力を得にくい、⑩忙しすぎて手が回らない 等となっている。

■本人の声を施策に活かすプロセス(参考例)の整理
・上記の課題のうち特に概念整理が必要と思われる、②本人参画の進め方(方法)がわからない、③施策への活かし方がわからない等の課題を受けて、施策づくり全体の流れと本人参画のタイミングや場面、方法をイメージしやすくするための「本人の声を施策に活かすプロセス」を整理し、イメージ図(参考例)を作成した。

■「都道府県・市町村向け施策を本人参画でともに進めるための手引き」の作成
・調査結果を踏まえ、都道府県及び市町村の職員や認知症地域支援推進員等の関係者を対象として、本人参画のための環境や配慮等が適切なものとなるよう、調査・分析に基づく本人参画の現状、課題等により本人参画のあり方の要点を検討するとともに、本人参画を共に育てていくために留意すべき点や考え方のヒント、取組みにおいて求められる配慮や工夫点を整理し、事例紹介等も含めた手引きを作成。別冊として手引きダイジェスト版も作成した。